TV GUIDE Interview 1999

伝説というものは、完全に理解するにはその存在はあまりにも大きい。しかし、常に人々の心を魅了して止まない。では、その測りしれない才能がタブロイド紙の書く記事によって霞んでしまいがちなマイケル・ジャクソンという男を理解するには、どうしたら良いのだろうか?元ジャクソン5のリード・ボーカリストは1982年のアルバム「Thriller(同名のビデオはTVガイド及びMTVによって最高傑作との評価を得た)」で一気にソロとしての名声を手にした。ニューヨークのホテルのスイートルーム内にいる恥ずかしがり屋のポップ・スターはカリスマ性にあふれ、元気さにあふれ、将来の計画についても語るごく普通の男である−まだタイトルも未定のCDの内容を彼は「幸せとダンス・ミュージックと人間関係など」と表現した−また、兄弟との再結成アルバムについても−。そして彼が19世紀の作家として主演する「The Nightmare Of Edgar Allan Poe」の話も持ち上がった。映画は来年の撮影を予定しており、彼がポーを演じたい理由については「とても興味深い人生だ」との事。加えて「僕は危険を好むアーティストだからね」とも−。 MJ

 

−「Thriller」は音楽ビデオの在り方そのものを変えてしまいました。ああいったアイデアは何処からやって来たのですか?
MJ兄のジャッキーがうちに来て言ったんだ。「この番組を観てるか?ずーっと音楽ばっかり流してるんだ。MTVっていうんだ」ってね。テレビをつけてみると、なるほど、これは面白いと思った。ただ気に入らなかったのは映像のたれ流し的なビデオばかりだったという事だ。もし僕がやるなら何かもっと面白いものをやるぞ、と考えたものだよ。短編映画みたいにちゃんと始まりがあって、中身があって、終わりがあるものを作る…それが僕の目標だった。

−「Thriller」を始めとして、あのアルバムから発表したビデオがあなたのキャリアにこれほど大きな影響を与えるなんて想像してましたか?
MJあのアルバムがどれ程のものになるか、なんて考えてもみなかったよ。僕は自分自身が観ても楽しめるようなビデオを作りたかったんだ。「Thriller」のビデオは、怖くて、楽しくて、なおかつエキサイティングなものにしようと決めていた。


−あの頃を振り返ってみて、いかがですか。
MJ僕にとっては楽しい時代でもあり、悲しい時代でもあった。エキサイティングな時代でもあったな。多くの夢が実現したんだからね。世間の評価も素晴らしかったし。


−悲しい時代でもあった、と。
MJああ。僕は、物事が思い通りに進まないと不機嫌になるんだ。


−つまり、アルバムがあなたの思い描いた通りにはなっていない、と?
MJ完全にはなっていないよ。


−どの曲に不満なのですか?
MJ「Wanna Be Startin' Somethin'」だね。作曲というものは、すごくストレスがたまる分野の芸術だよ。頭の中で鳴っている音を正確にテープに吹き込まなければならない。この中(と言って頭を指す)では素晴らしい音が聴こえるんだけどね。それをテープに録音しなければならないんだから…。「The Girl Is Mine」も思った通りにはならなかったけど、良い出来だった。でも「Billie Jean」だけは別だよ。あれには苦労したからね。ベースの部分を作るだけで3週間もかけた。


−手袋、白いソックス、赤い革ジャン…あれらは誰のアイデアですか?
MJあの手袋は単に…両手にはめてるより片手だけの方がカッコいいと思っただけなんだよ。身振りにアクセントを付けるのが好きなんだ。みんなの目が白い手袋に行くだろ?足元でも、踊っている時にライトが当たれば目立つ。だから僕は白いソックスを履いていたんだ。ジャケットのデザインに関しては、僕が衣装係の人たちにボタンやバックルの位置やデザインを指示して作った。でもああいう格好はもうしないよ。過去に固執するなんて寂しい事じゃないか。だからこそ、僕は家の中に賞を飾ったりしないんだ。ゴールド・ディスクもグラミーのトロフィーも置いてないよ。全部、倉庫にしまってある。おごり高ぶった気分になるのはイヤなんだ。もう僕は全てを手に入れた、なんて。そんなワケないんだから。


−あなたの創作のピークはもう過ぎた、と感じますか?
MJ最高の仕事は出来たとは思うけど、アルバムを作り続けるのではなく、もっと他の領域にも足を踏み入れたい。


−音楽的に興味深い事をやっていると思われるアーティストはいますか?
MJ色々と独創的なアイデアはあるみたいだけど、別に誰も新しい事をやっているとは思えないな。連中の多くがやっている事といったら、古い物をかき集めて新しい物とくっつけようとしてるだけだもの。


−一緒に仕事をしたいと思うアーティストはいますか?
MJ好きなアーティストは沢山いるけどね。


−あなたの好きな音楽は何ですか?
MJ聞いて驚くよ。今朝、僕はロジャース&ハマースタインの曲を口ずさんでいたんだ。僕が家にいる時に歌うのはそういった曲なんだ。サウンド・オブ・ミュージックの「My Favourite Things」や(バーブラ・)ストライサンドの「Absent Minded Me」。僕は古いMGMミュージカルの大ファンでもある。ショーで使われる音楽が大好き。あのメロディーが好きなんだ。


−あなたはどの曲を演じるのが好きなんですか?
MJ「Billie Jean」。でも、アドリブで踊れる部分だけ好きなんだ。観客はお決まりのステップが見たいんだろうけど。あの部分ではムーンウォークをしなければならないし(笑)。もっと違う形でやりたいなぁ。


−今、あなたにとってのお客は誰ですか?
MJ分からない。僕はただ、素晴らしい曲を書こうとするのみだ。もしみんなが気に入ってくれるのなら、その曲は愛される。でも僕は民主主義的な多数決なんて眼中に無いね。レコード会社は僕にそういった考えを持たせようとするけど、僕は自分自身が納得するものを作るまでだ。


−新たなミレニアム(千年紀)には新しいマイケルを見られますか?
MJああ、いくつか計画している事があるんだ。今まで僕がやってきた事とは全く違うものになるだろう。ニューアルバムの中に「I Have This Dream」という曲がある。僕とキャロル・ベイヤー・セイガー、デヴィッド・フォスターとの共作で、世界環境について歌ったミレニアム・ソングなんだ。


−また、ツアーを予定していますか?
MJそれは考えていない。多くの制約を伴うからね。


−あなたは外出する時は大体、変装してますね。何故ですか?
MJそれ以外に方法が無いんだよ。もう、色んな事を試したよ。太って見えるスーツ、尼僧、ピエロ…。ハロウィンは一番良かったな。それからカーニバルも。


MJ −いずれ、変装もせず、マイケル・ジャクソン自身として自由に歩き回れるようになると思いますか?
MJいや、僕が変装をするのはそういった理由からじゃないんだ。まるで壁にとまっているハエみたいに、人々を観察するのが好きなんだよ。例えそれがベンチに座ってるお婆さんたちやブランコに乗ってる子供たちであろうと。人々の日常にどう適応したらいいのか分からないんだ。一度、完璧に変装してレコード屋へ行った時、女の子たちが僕のアルバムを手に取って僕の事を話していた。僕が彼女たちのすぐ隣りに立っていたのにさ。面白かったよ。病みつきになりそうだった。でも、僕が僕自身として外出すると、ちっとも楽しめないんだな。

みんなすぐに「パーティーにでも行かない?」なんて声を掛けてくる。僕が姿を現した瞬間、そこでパーティーはおしまいさ…僕にとってはね。彼らの為のパーティーにも関わらず、みんな僕に名刺を差し出して「覚えてるかい?4年前、何処何処で会った…」。僕は「覚えてないよ」と答える。こんな感じだからまるで楽しめやしない。それに、みんな僕の曲ばっかり流す。僕は別に、自分の曲を聴きに来たワケじゃないんだ。すると「踊って!」とか「ここはひとつ、キミが踊ってパーッと盛り上げてもらおうか」などとはやし立てられるんだよね。


−あなたはマスコミによって悪いイメージを作り上げられてしまいましたが、人々はそれでもあなたを音楽のみによって評価してくれると思いますか?
MJそうは思わない。マスコミは僕を化け物、狂人、奇妙な変人として作り上げてしまったからね。とんでもない話だよ。


−そのようなイメージを取り払う為にあなたが出来る事と言ったら?
MJ僕に出来る事は素直に自分自身をさらけ出し、ありのままの自分を表現するのみだよ。まぁ、奴らはそれさえもねじ曲げてしまうだろうけど。


−「彼はおかしい。変な動物を飼っている」という人々に対しては?
MJ動物は神の創造物だ。動物とは、可愛くて美しいものだよ。ジェーン・グドール(人類学者)や自然科学者たちにはすごく共感する。動物に興味を持つ事が変だなんて、ちっとも思わないけどなぁ。


−整形手術については?
MJハリウッドではみんなやってるよ!どうして僕ばかり攻撃するのか分からない。マスコミは大げさに騒ぎ過ぎだよ。僕の鼻の事についてさ。鼻だけじゃなく、全てを整形してると言いたいんだな、奴らは。エルヴィスだって鼻をいじってるんだよ。リサ・マリーが言ってたもの。なのに、誰もその事については言わないんだ。僕の事ばかり。不公平だな。


−分かりました、では、リサ・マリーの話が出たので…あなたは、リサがあなたの子供を生まなかった事を後悔しており、今でもあなたの子供を生みたがっている、と言ったそうですね。本当ですか?
MJうーん、それは当時彼女がそう思ってたという事さ(笑)。この質問には、僕が何と答えようと、問題になるだろうな。来週のTVガイドには「リサはもう彼とは会いたくないらしい」なんて書かれちゃうんじゃないの?


−あなた方は今でも友達同士なんですか?
MJリサは可愛い人だよ。彼女の事は大好きだし、いい友達だ。でも、明日はどうなるかなんて誰にも分からないだろう?今、彼女がどう思ってるかなんて知る由も無いもの。そうとしか言えないよ。彼女はうちに来て子供たちと会ったり、僕とは電話で喋ったり、そんな程度の事だよ。


−あなたはもう一度結婚すると思いますか?
MJそうなったら素晴らしいだろうね。


−3回目の結婚はどのように?
MJ僕の心に訴えかけるものが無きゃね。相手に対して「これが最後だ。この人こそが、そうなんだ」と。


−過去2回の結婚でもそう思ってましたか?
MJああ、そりゃもちろん。


−今もまだ結婚していられたらなぁ、と思いますか?
MJそう思うよ。でも、最良の選択をしなければならなかったんだ。起こってしまった事は起こってしまった事として、ね。その気持ちを大切にしなくちゃ。


−あなたの親友は誰ですか?
MJもちろん、エリザベス(・テイラー)。僕らは毎週木曜日に映画を見に行く仲だ。


−普通の映画館に行くのですか?
MJ僕としてはワーナー・ブラザーズのスタジオに行きたいんだけど、彼女に断られちゃうんだ。「ダメ、あなたを外へ連れ出すわ」って。だから僕らはいつも…何処かは言えないけど…とある館内へ入る。すると大体、ガラガラなんだ。みんなは働いてる時間帯だからね。劇場の人が「おぉ、どうぞお入り下さい!」って入れてくれるから僕らはお金を払った事が無い。僕らだけが許されてるんだ(笑)。


−子供たちについてお話ししましょう。私がお訊きしなければならないのは、最近の新聞では、デビーは他の女性の卵子を使った人工受精による妊娠だったという報道が為されていますが。
MJ全く下らない話だ。そんなクズみたいな記事、ウソっぱちだよ。


−子供たちは今もあなたと一緒にネバーランドで暮らしているのですか?
MJ2週間前まではネバーランドにいたよ。最近彼らは、やっとあそこが自分たちの家だと気付いたみたいだ。リゾート・ホテルか何かだと思ってたんだから。僕らはいつもホテルに泊まっているからね。あそこにある汽車や乗り物の全てが彼らの為にあるという事が、分からなかったんだ。今や彼らは「ネバーランドに行きたい!」だよ。


−彼らの性格はどうですか?
MJプリンスはいつだって「映画を撮るんだ」って言ってる。だからビデオカメラを買ってあげたよ。僕が「今回は何を撮るの?」と言うと「スター・ウォーズ」だって。そこで、テーブルの上に人形を置いて動かして遊ぶんだ。それから、パリスはお喋りや歩き方を覚えたばっかり。とても可愛いよ。彼女が人形好きなのには驚いた。だって、ジャネットはそういった物には興味を示さなかったからね。彼女はおてんばな子だった。だからパリスもそうなるかな、と思ってたら全然違ったよ。


−子供たちのオムツを替えたり、ご飯を食べさせたりもしているのですか?
MJああ、楽しみながらやってるよ。疲れるけどね。僕は育児に関する本は大体読んでいたから準備は出来ていた。でも実際にやってみると、想像していたよりもエキサイティングなものだね。ただひとつ後悔しているのは、もっと早くこういう事が出来ていたらな、と思う。

MJ


−彼らの為に歌ったり踊ったりするのですか?
MJ彼らが泣いている時に黙らせるには、それが一番。僕が踊り出すと彼らは静かになるよ。


−もっと子供が欲しいですか?
MJもちろん。父さんの記録に挑戦してやる、とも言ったしね。彼は10人も作ったんだ。


−現在のあなたとお父さんとの関係はいかがですか?しばらく疎遠状態にあったんですよね。
MJ父さんとの関係は、今までで最高の状態にあるよ。恐らく、歳を取るに連れて彼も丸くなったんだろうな。いい人になったよ。彼は僕に「元気にしてるか?ちゃんとメシは食ってるか?私が知りたかったのはそれだけだ」と訊いてくる。「あの契約書にサインはしたのか?」という事ではなく、僕が元気かどうか知りたがってるんだ。いい事だと思うよ…それから、母さんは相変わらず天使の様な人だ。


−41歳を迎えて、あなたは幸せですか?
MJ僕は大体、幸せだよ。僕は何物にも負けやしない。僕は、小川のせせらぎや小鳥のさえずりを聴くのが好きなんだ。本物の自然の無垢さが大好きだ。パーティーやクラブなんかには行ったりしないよ。子供の頃は行ってたけど、そんな事にはもう興味は無いんだ。


−あなたが最近言った言葉で気になる点があったのですが。世界中の子供たちを救うという願いが無くなったならば、あなたは負けを認めて自殺でもする、というものです。本当にそう思っているのですか?
MJいつだってそう思ってるさ。それこそが僕の生きる意義だと思っている。


−あなた自身の為でもあなたの作品の為でもなく?
MJそんな事は気にしない。僕が創造する物の全ては、そういった無垢な物から触発されるんだ。自然、それこそが全てだ。そうあるべきなんだ。つまり、それだけなんだよ。


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