Interview magazine 2003


アメリカのポップカルチャー専門誌、インタビュー・マガジン2003年8月号にプロデューサーのファレル・ウィリアムズ(ザ・ネプチューンズ)とマイケルの電話対談が掲載された。マイケルがインタビュアーを務めている。

 

Pharrell Williams

MJ もしもし?

PW もしもし!元気かい?

MJ いやぁ、悪かったね。僕の親友だったグレゴリー・ペックがちょうど昨日亡くなったばかりでね。葬儀の準備やら何やらで奥さんの手伝いをしていて忙しかったんだ。それで電話をかけるのが遅くなっちゃったよ、すまなかったね。

PW いや、それより、こうしてあなたと電話で話せるなんて信じられないよ。

MJ おぉ、それはそれは…神のご加護を。

PW ありがとうございます。あなた様にも。

MJ ありがとう。それで、僕がキミにインタビューをするんだよね?確か7つほど質問事項があって…そんな感じだよね?

PW もちろん。何でも聞いてくれ。

MJ オーケー。じゃぁキミの音楽は何によって触発されていると思う?キミの音楽の源となっているのは何か、という事だ。

PW 感情だね。空気をキャンバスに見立てて、絵の具はキーボードを弾く指先からあふれてくる音そのものだ。演奏をしている時、僕は空気中に感情を描き出しているような気分になる。くだらない事を言ってると思われるかも知れないけどさ、でも…

MJ いやいや、完璧な例えだよ。

PW それで、出来上がりと思えばそこで出来上がりなんだ。絵画や彫刻のようなものさ。これでよしと思えば、それで完成なんだよ。作業終了。その逆も同じ。作品が「さぁ、これで終わりだ」と語りかけてくる。

MJ そうだね。完成するまでは眠れないよね。

PW その通り。

MJ そうだよ、僕もまったく同じだよ(笑)。ところで最近の音楽についてどう思う?キミは、次々と生み出される新しいサウンドや今後の音楽の向かう方向性などに興味はあるかい?

PW そうだな、個人的には、あなたやスティーヴィー・ワンダーやダニー・ハサウェイといった人たちのように、意の向くままにやっていきたい気がするね。

MJ なるほど。

PW 例えば、みんながある方向を向いていた時、あなただけは「Off The Wall」をやっていたように。

MJ なるほど(笑)。

PW そしてみんなが違う方向を向き始めた頃にはあなたは「Thriller」をやっていた。あなたは自分のやり方を貫いたんだ。僕はあなたのように、自分の感情に正直になる事を恐れず、向上心や野心を形に出来るような人たちを見習いたい。思いを形にするんだ。

MJ 素晴らしいね。ステキだよ。よくぞ言った。僕が聞きたいのは…キミも、僕がそう感じているように、これはまるで妊婦が子供を生むような感覚だと思わないかい?曲を書く事は子供をもうけるのと同じで、曲が仕上がると世の中に子供を送り出すような感じだ。キミは今まで、そんな生みの苦しみのようなものを感じた事がある?

PW ちょっといいかい?この前、ビデオ公開のためのインタビューをやったんだけど、僕はそれを見せるのが恐かった。単なるビデオではあるけど、僕にとっては曲のもうひとつの側面なんだ。だって、ビデオは視覚的に新たな解釈を曲に与えるからね。だから、そうだな、僕もまったく同じように感じるよ。たまに、人前で何かを演奏した時に、あまり受け入れられなかったとする。まるで自分の子供が何かやらかしてしまったかのように、みんなが後ろ指をさす。そんな時は「ちょっと待て!これは俺の子供だ!」なんて言いたくなる。実際には父親ってわけじゃないけど、僕はこうあるべきだと考える。少なくとも僕は自分の曲に対してはそう感じてるよ。

MJ なるほど。じゃぁ、ジャズからポップスからロックンロールからヒップホップに至るまで、黒人が音楽界に持ち込み、先駆けとなったありとあらゆるジャンルの音楽についてはどう思う?これは神からの贈り物だろうか?

PW 全ての音楽は神からの贈り物だと思うよ。それで…(とあるファンが口を挟む)マイケル、ちょっと待っててくれないか?(ファンに数秒話しかけ、電話口に戻る)ごめん。

MJ (笑)ブルースもロックンロールも、ああいったポップスは全てチャック・ベリー、リトル・リチャード、ファッツ・ドミノらが生み出したんだ。

PW その通り。

MJ さらに、ケークウォークからチャールストン、ポッピング、ブレイキング、ロッキングなどのダンスに至るまで。神からの贈り物だと思わないかい?

PW その通り。我々が贈り物を授かったのは、神が物事を解釈する知恵を与えてくださった、まさにその時なんだ。つまり、自分が詞を書く時は誰かに、もしくは世の中に向けて書いている。演奏をしている時は、世の中に聴いてもらいたくて演奏をしている。踊っている時は、見てくれる人のために踊っている。これらは表現方法の一形態なんだね。ちょっとでも内向的になってしまうと、いくら自分のために踊ろうと書こうと演奏しようとも、誰かに感想を述べてもらうなり記録として形に残すなり振り返って見つめ直すでもしない限り、自分がどれほど素晴らしく見えるか、聴こえるか、感じられるかなんて分からないよ。

MJ そうだね。先輩アーティストの中で…最近ラジオでかかってるアーティストじゃなく…子供の頃に影響を受けた人は誰かな?キミのお父さんがよく聴いていたアーティスト、とか。何か学ぶところはあった?

PW そりゃもちろん。アイズレー・ブラザーズ。

MJ あぁ、僕もだよ。アイズレー・ブラザーズは大好きだ。それとスライ&ザ・ファミリー・ストーンも好きだよ。

PW ダニー・ハサウェイ、スティーヴィー・ワンダー…

MJ キミは僕が好きな人たちはみんな好きみたいだね(笑)。

PW みんなサウンドが独特だ。見知らぬ場所へ連れてってくれる。

MJ 素晴らしいね。ところで、今どこにいるの?ニューヨーク?

PW ヴァージニア・ビーチ。ヴァージニアでございますよ。

MJ ヴァージニアか!そりゃいいねぇ。僕の愛をヴァージニアへ伝えてくれるかい?

PW あぁ。ありがとう。

MJ キミのご両親にもね。神はキミに特別な才能を与えたもうた。

PW ありがとうございます。それと、言っておきたい事があるんだけど…あなたはあまり聞きたくないかも知れないけど、それでもこれは言わなくちゃならない。僕の率直な気持ちだから。でも人々はあなたを妨害する…

MJ あぁ。

PW みんなあなたを愛しているからなんだよ。それこそが理由だと思う。あなたが、人々がどうしても理解できないような事をすると、必要以上に大きな問題にしようとする。あなたが史上まれに見る才能の持ち主だからだよ。あなたは20世紀に、他の誰も成し得なかった偉業をやってのけたのだから。

MJ どうもありがとう。親切にどうも。

PW あなたのする事は驚きの連続だ。例えあなたが100歳になっても、連中はあなたが体にコレをやっただのアレをやっただのと騒ぎ立てるんだろうな…いや、正直な話、もしあなたが全身にメッキを施そうとも、それでもあなたは驚くべき人物なのだから、世間が何と言おうともみんなあなたに注目する事は間違いないよ。あなたが音楽界にやってきた功績や人々の暮らしを変えたという理由でね。みんな子供たちにあなたの曲を聴かせてるよ。世界に影響を与えたんだ。

MJ どうもありがとう。スターになればなるほど攻撃の的にされやすくなる。それはつまり…別に自慢をしているわけではないんだけど…世間から攻撃を受け始めて、初めて自分が頂点にいる事に気づかされるものなんだ。あのキリストでさえも十字架に磔(はりつけ)にされてしまった。マハトマ・ガンジーからマーティン・ルーサー・キング、イエス・キリスト、そして僕自身に至るまで世界に光をもたらす人々はみんなそうだ。僕の信条はヒール・ザ・ワールドであり、ウィ・アー・ザ・ワールド、アース・ソング、セイヴ・アワ・チルドレン、ヘルプ・アワ・プラネットなんだ。この事で世間は僕を迫害しようとするけど、僕は負けないよ。ファンの基盤も強固なものになってきたからね。僕はすぐに立ち上がる。サイの皮膚のように頑丈なんだ。何物も僕を傷つける事はできない、何物もだ。

PW それこそまさに僕の言わんとしてる点だよ。あなたがどれほど凄い人物かを伝えたいんだ。「Billie Jean」から「That's What You Get (For Being Polite)」に至るまで、音楽に対するあなたの功績といったら…(ジャクソンズの「That's What You Get (For Being Polite)」を歌う)

MJ おっ、その曲を知ってるの?(笑)

PW ♪Jack still sits all alone…

MJ おいおい、歌詞まで知ってるのかい。

PW あなたが行動を起こす時、それは同時に世界へ向けた行動でもあるんだ。(再び歌い始める)

MJ (ギターのリフをハモる)

PW もしあなたと仕事をする機会がなかったら、あなたは誰にも制止できない人という認識しかなかったかもな。だからこそ、あなたが100歳になって全身メッキ漬けになったとか世間があれこれ言おうとも…僕はまったく気にも留めませんよ。みんなそれを見に集まって来るだけだろうし。

MJ 世の中には嫉妬が渦巻いているんだ。僕は全ての人種を愛しているし、全ての人々を愛している。しかし人々の心の中には悪魔が潜んでいる時もあり、それが嫉妬心をかき立てる。いつだって、人々の常識を超えた人物が現れると、みんな嫉妬してその人物をこき下ろそうとするものだ。でも僕にはそんなの通用しないよ。だって僕はメチャクチャ強いからね(笑)。世間は知らないだろうけどさ。

PW みんな知ってるよ!信じてくれ、みんな知ってるよ!

MJ 他の人だったらとっくに挫折してるだろうけど。僕はへこたれない。僕は強いんだ。

PW もちろん。あなたは10歳の頃だって、その声と才能とで他の大人たちを打ち負かしてきたんだ。20歳の頃だって、芸歴20年・30年の人たちをしのぐ勢いだった。そして今もなお、みんなあなたの居場所を突き止めるのに必死じゃないか。みんながあなたの子供たちを見たがり、あなたの世界観に触れようとする。驚くべき事だよ、とにかくそれを言いたかったんだ。この話が世に広まるといいな。僕にとって大切な事だから。僕もいつか、あなたの半分程度でも凄いヤツになれたらいいなと思うよ。

MJ 神のご加護を。キミも素晴らしいよ。どうもありがとう。

PW ありがとう。

MJ じゃ、元気でね。

PW あなたも。

MJ ありがとう、バーイ。

PW バーイ。


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