TV GUIDE Interview 2001

もしあなたが35年もの間、ショウビジネスの世界にいるとしたら−その多くの時間をショウビジネス界における伝説の人物として過ごしているとしたら−どのように人前に登場すれば良いかを心得ている事だろう。少なくともマイケル・ジャクソンは、その術を知っている。


キング・オブ・ポップはどこへ行くにも、並大抵の事では現れない。豪華なビバリーヒルズ・ホテルの部屋での登場も、例外ではなかった。彼は約束の時間を2時間過ぎても姿を見せない。先に彼のボディガードがやって来て、カーテンの裏、クローゼットやバスルームの中までセキュリティ・チェックを行い、明かりを暗くした。そしてついにドアが開いたと思うと…それはマイケルではなく、部屋に飛び込んできたのは彼の幼い2人の子供たちだった。濃いブロンド・ヘアーのプリンス(4)と、くるくるとしたブラウンの髪を肩まで伸ばしたパリス(3)だ。そして最後に、彼らの父親が入ってきた。

MJ


彼の姿は、至る所で見かけられる。新聞や雑誌でも、彼の彫りの深い顔や女性的な瞳を見かけない日は無い、と言っても過言ではないだろう。それでもなお、彼の存在は独特だ。今日の彼はミリタリー調の青いシャツに細い体を包み、おなじみの裾の短い黒いズボンと白い靴下を履いている。そして彼の有名な鼻。この日は、灰色の絆創膏が貼られていた。「痛み止めのテープだよ」と、彼は静かに、温厚に言った。「アレルギー鼻炎用のね」。


子供たちを足元で遊ばせながら、彼は自分の生活について丁寧に、かつ驚くほど冷静に語った。彼は、時にはマスコミに対して腹を立てるが、自分自身を笑い飛ばす余裕さえも見せる事のできる男だ。これはマイケル・ジャクソンの知られざる一面だろう。コンサートで彼を目の前にして卒倒してしまう女性ファンたちの事を考えて、笑いが止まらなくなる一幕もあった。


それでも彼には心配事があった。43歳にして、マイケルはキャリアの転換期を迎えようとしている。80年代の象徴から、現代ポップシーンの現役選手へと素速く変身しようとしているのだから。シーン最前線への復帰の第1歩は、マディソン・スクエア・ガーデンでのコンサートだ。母国での公演は実に12年ぶりとなった。この模様は2時間スペシャルとして編集され、11月13日に放送される。彼は最新アルバム「Invincible」に対する人々の反応を、不安げに待っている。それに加えて、彼は「We Are The World」的な曲「What More Can I Give」を作った。この収益金は9月11日の同時多発テロ事件の被害者救済に宛てられる。そして彼は来夏公開予定の映画「Men In Black 2」にも顔を出しているのだ。


結局、我々が会った父親:マイケル・ジャクソンは、子供たち、そして彼自身の少年時代と深い絆で結ばれた人物という印象を強く残した。

(聞き手:メアリー・マーフィー&ジェニファー・グレアム)


−今回の特番では、あなたの長いキャリアをお祝いしています。初めてステージに立った時の事を覚えていますか?
MJ僕はまだ5歳だった。あれは学校のリサイタルでの事だよ。僕らは白いシャツに半ズボン姿だった。司会者が「さぁこれから、ちっちゃなマイケル・ジャクソン君がクライム・エヴリ・マウンテンを歌います!」なんて言ってたよ。もの凄い拍手をもらった。席に戻ると、祖母と母が泣いてるんだ。「あなたの歌は信じられないほど良かったわ」って。これが最初の記憶だね。


Jacksons at MSG −あなたがテレビの特番をやるなんて珍しいですね。
MJ僕はテレビに出るのが好きじゃないから、今まで沢山の出演依頼を断ってきた。全く、ウンザリさせられたよ。だから僕はパフォーマンスをするんだけど、1年か2年ほど経たないと番組を見ようとも思わないね。僕はいつだって、自分のやった事に対して不満があるんだ。

−この特番のために収録された2度のコンサートは、多くのビッグ・スターをゲストに迎えてますよね。これは別に不満に思う必要は無いでしょう。
MJ2日目のコンサートは良かった。初日のコンサートはひどかったよ。技術的にも多くの故障が発生したし、曲と曲の合間が長すぎた。最悪だった。観客は延々と待たされ続けたんだ。


−ステージで踊ってる時は、どんな気分ですか?
MJ僕はリズムの奴隷だよ。その瞬間ごとに、僕は為されるがままさ。頭で考えていてはダメなんだ。踊るという事は頭で考えるのではない…体で感じるんだよ。


−ダンスのステップを振り付けるのは、あなたですか?
MJいくつかのステップは兄弟と一緒に作る。でも1人になった時は、全てが即興だよ。振り付けなど存在しない。最近のダンス・スクールでは生徒たちにカウントを数えて踊るように教えているけど、それは大きな間違いだね。


−最近のポップ・グループについてどう思いますか?例えばイン・シンクのような。彼らは、あなたの真似ですか?
MJ歌手として、素晴らしいと思うよ。彼らの事はよく知ってるし、たまにお喋りしたり遊んだりする。彼らが僕の真似をしているとしても別に構わない。それは僕に対する敬意なんだから。誰だって、誰かしらを目標にスタートするんだ。僕にとってはそれがジェームス・ブラウン、サミー・デイヴィスJr.、ジャッキー・ウィルソン、フレッド・アステア、ジーン・ケリーだった。


−特番にはマーロン・ブランドも出演しています。どうやって彼も出る事になったんですか?
MJブランドは僕の親友だよ。20年来の知り合いだ。彼はよく僕の家に来るよ。子供たちと遊ぶのが大好きでね。僕は彼の孫たちと遊ぶんだ。一緒に映画を観るのも大好きだ。


−他にはどのような人がやって来るのですか?
MJエリザベス・テイラー、マーロン・ブランド、グレゴリー・ペック…みんな素晴らしい友達だよ。僕の友達というのは、ずっと年上か、もしくはずっと年下か、なんだ。自分と同世代の人とはあまりうまくいった試しが無いね。5歳の頃からナイト・クラブで演奏していた影響が大きいと思う。酔っぱらってケンカをしてる人たちを見てはイヤな気分になっていたものだ。今でも、みんなが「おい、クラブへ行こうぜ」なんて言っても僕は「冗談じゃないよ」って感じだね。もし僕が行こうものなら、僕にとってはパーティーどころじゃないんだから。サイン攻め・写真攻めにあうのがオチさ。


−コンサート後にタヴァーン・オン・ザ・グリーンのレストランで行われたパーティーでの話は、本当ですか?
MJさらにひどかったね…みんなが集まってきて、息が詰まりそうだったよ。


−気を失って倒れたそうですね。
MJそんなの、ただの噂だよ。マスコミが煽り立てるために作った話さ、いつものように。彼らは僕を攻撃するのが好きだからね。


−では、何が起こったのですか?
MJ何も起こってないよ。気絶なんかしていない。マスコミの連中は延々とこんな事を繰り返しているんだ、頭に来るよ。(コーヒー・テーブルの回りをスキップしているパリスに対し、穏やかに)パリス、静かにしていなさい。ダメだよ…ほら、テーブルにぶつかるんじゃないよ。会話を録音してる所なんだからね。


−ライザ・ミネリもコンサートで歌いましたね。あなた方は非常に親しいようですね。
MJライザとは毎週のように話してるよ。僕らは同じ惑星からやって来たんだ。エリザベスと同じように。


−どこの惑星ですか、それは?
MJ「大宇宙という名の海に浮かぶ気まぐれな物体」とでも言おうか(笑)。いや、うまくは言えないよ…。太陽系を超えた所にあるんじゃないかな。でも、これは本当に言える事であって、軽く考えられては困る。子供の頃からスターとして育った人たちには共通するものがあるんだ。可愛い頃は愛される。ちょっと大きくなると、途端に無視されてしまう。大人のスターになれる者など、ほとんどいない。多くは自滅していくんだ。悲しい話だね。


−あなたはどうやってそのような状況を乗り越えたのですか?
MJたぶん、信仰心のおかげだろうね。


−今でもエホバの証人の信者なのですか?
MJそうだよ。僕はいくつもの、我々が呼ぶところの開拓(布教活動)をしてきた。月に90時間やるんだよ。今は忙しくなってしまったから、やらないけどね。体型をごまかす服や、分厚いメガネ、付けヒゲに入れ歯、アフロヘアのかつらをかぶって1軒1軒、回るんだ。ドアをノックして「我々はエホバの証人です」と名乗るんだよ。


−今回の特番は、あなたの7枚目のソロアルバム「Invincible」の発売とほぼ同時期ですね。これはあなたにとってのカムバックとなるんでしょうか?
MJこれをカムバックだなんて思ってないよ。僕は4年に1度アルバムを出してるだけだ。その間にも、僕は曲を書いていたんだから。


−アルバムには、ウィル・スミスやジェイ・Zなど、ラップ界のスターも関わっていたそうですね。あなたが、荒っぽいイメージを持つジェイ・Zと一緒に仕事をしていたとは予想外でしたが。
MJいい奴だよ、彼は。彼らの不祥事を聞いても、いまいち信じられないよ。僕が知ってる彼らは、いつだって親切なんだ。完璧な紳士だよ。


−アルバムの1曲目「Unbreakable」に込められているメッセージは何ですか?
MJ僕は何にも屈しない、全てを乗り越えてきたんだから。僕を傷つける事も倒す事もできない、僕はまた立ち上がる…(レモネードのビンをテーブルに打ち付け始めたプリンスに対し)こら、うるさいだろう?大人しくしてなきゃダメじゃないか。


−あなたは、おかしな人としても知られてますよね。世間の注目を浴びながら育った事が影響しているんですか?
MJ(微笑みながら)それは、あなたが何を指しておかしいと言ってるのか、にもよるんじゃないかな。


−世間ではあなたの事をワッコー・ジャッコー(変人ジャクソン)と呼んでますが。
MJ失礼な話だね。みんな、嫉妬してるからそういう事を言うんだよ。僕はおかしな事など何もやっていない。病院や孤児院へ行って、袋いっぱいのオモチャを置いてきた。それに関しては数千ドルを費やした。これの、どこがおかしいと言うんだい?


−あなたの報道のされ方によって、人々は「彼っておかしいの?」と思ってしまうんです。
MJ(怒り口調で)僕はオプラ・ウィンフリーのインタビュー番組に出た。ダイアン・ソーヤーの番組にも出た。人々は、ありのままの僕を見た。マスコミの連中は皆、嫉妬に駆られているんだ。これは、僕が対処していかなければならない事のひとつだろう。


−どのように対処するのですか?
MJ前向きにとらえて、それをエネルギーにしてしまうんだよ。その事についての曲を書いたり、踊ったり、動きや顔の表情に表したりするんだ。それらがやがて僕の一部となり、作品の一部となる。自分の中に、あまり取り込まないようにしているんだ。もしそんな事したら、気が狂ってしまうよ。


−最初のシングル「You Rock My World」のビデオは、実際には15分にも及ぶショートフィルムですね。ギャングの世界をテーマにしたストーリーは、どのように思いついたのですか?
MJそれは分からない…いわゆる思い付きってやつだよ。舞台はキューバ。暑い夏の夜。ギャングが経営するクラブ。MTVは、ロング・バージョンを流してほしい。あのショート・バージョンは全く気に入らないね。あれじゃ充分に楽しめない。
You Rock My World


−ビデオの製作過程には、あなたはどれほど関わっているのですか?
MJみんなは、マイケル・ジャクソンという名前を耳にした時、エンターテイナーとしての僕を想像するだろう。僕が作曲家であるという事実は、まず語られない。別に自慢するワケじゃないけど僕は自分で曲を書き、ビデオの監督役だってやる。若いアーティストたちに、これだけの事ができるとは思えないね。これは彼らにとって良い刺激になるだろう。


−このビデオを作っている時、「この作品をスリラー並みのものにするぞ」と考えてましたか?
MJいや、仕上げるのに充分な時間が無いって事は分かってたからね。これからもっと素晴らしい作品をお届けするよ。


−子供たちにはMTVを見せるんですか?
MJある程度の年齢になればね。今はダメだ。15か16歳になるまでは。


−では、あなたはテレビを見るのですか?
MJPBS、ディスカバリー・チャンネル、シンプソンズが好きだよ。セサミ・ストリートもいいね。何時間でも見ていられる。でも一番のお気に入りはマルコム・イン・ザ・ミドルだ。あの番組は、僕らが幼かった頃の事を思い出させるよ。


−どの登場人物に思い入れがありますか?
MJマルコムだね。彼は社会に適応しようとするんだけど失敗してしまう。ETやバンビのように彼は、みんなの考え方に合わせる事ができない。僕もそのように感じた事は何度もある。一旦ステージを降りると、どうも居心地が悪い。まるで僕はここにいるべきじゃないような気がしてしまうんだ。


−2人のお子さんのうち、どちらの方があなたに似ていますか?
MJ両方とも、だね。それぞれ違った点で。プリンスはいたずら好きなんだ。髪を引っ張ったりする所なんか特にね。僕も、姉や妹に同じ事をやっていたものだ。


−パリスもですか?
MJこの子は強い子だよ。


−この子たちの母親であるデビー・ロウはどうしているのですか?
MJ彼女は元気でやっていると聞いたけど。パリスはデビーに似て、強い子なんだ。


−あなたの経済状況についてですが、コンサートチケットに高い値段を付けたのはあなたが破産に追い込まれたからだという噂があります。
MJそんなのタブロイド紙のクズだよ。奴らは作り話が好きなんだ。あの連中はいつだって、どうにかして売上げを伸ばそうと必死なんだから。


−現在の世界情勢を考えるに、あなたは恐らく子供たちの事が心配でならないでしょう。同時多発テロ事件の時、あなたはニューヨークにいたんですよね?
MJそうだよ。海外から電話がかかってきて、アメリカが攻撃されているって言われてね。僕は「一体、何の事?」と聞き返した。すると「ニュースを見てみろ」って。…思わず目を疑ったよ。それから僕は廊下中に響きわたる声で「みんな急げ!起きろ!今すぐここを出るんだ!」と叫んだ。全員が着替えて、車に乗り、街から遠く離れたんだ。


−あのテロ攻撃により、あなたはオールスター・レコーディングによる「What More Can I Give」という曲を製作し、事件の犠牲者に捧げる事となりました。
MJ事件に関する暗い話題には、ウンザリしたよ。あのニュースがあまりにも多かったからかどうかは知らないけど、我々の心は恐怖から憎しみへ、憎しみから怒りへ、怒りから復讐へと突き進んでしまった。これはメディアの影響が大きいと思う。


−あなたはブッシュ大統領に、この曲とその収益金について話をする予定だと聞いてますが。
MJお父さん(ブッシュ元大統領)には、もう話をしたよ。もうすぐ大統領から直々に電話が来るはずだ。僕のやっている事にとても誇りを持ってくれている。僕の事を国際的なヒーローだってさ。


−あなたの使命は人々を救う事のようですね。
MJ僕はいつだってそうしてきた。今となってはおかしな話だけど、テロ攻撃によってみんなが再び一致団結するようになり、こういった歌を求めるようになった。僕は今までにも「Heal The World」、「We Are The World」、「Will You Be There」、「Man In The Mirror」などの地球的規模の曲をやってきたよ。誰もそんな事しなかったけど、僕の心はそこにあるんだ。僕の一大関心事なんだよ。僕の最大の夢は、子供たちの日を制定して親子の絆を深めさせてあげる事なんだ。


−子供たちは、あなたと一緒に旅をしているのですか?
MJ僕が行く所どこへでも、ね。


−学校へ行くようになったら旅行などしていられないでしょう。どうするんです?
MJ自宅の庭にコンピューターの学校を設立するつもりだよ。他の子供たちも入学できる学校を。


−オンラインで授業が受けられるという事ですか?
MJその通り。この子らが、どうやって一般社会へなじんでいったらいいと言うんだい?彼はプリンス・マイケル・ジャクソン。彼女はパリス・キャサリン・マイケル・ジャクソンだ。難しすぎる話だよ。


−何故、あなたはそれほどまでに、子供たちに親近感を抱いているのだと思いますか?
MJそれじゃあハッキリ教えてあげよう。僕には子供時代が無かったからだ。彼らが苦しい時は、僕にも彼らの苦しみが分かる。彼らが絶望している時は、僕にも彼らの絶望感が感じられる。今日の子供たちが置かれている苦しい状況を、僕はそのように心配しているんだ。例え一日でも、子供たちが親と仲良くできる日があれば、この状況は一変するだろう。もし僕が父さんとそんな風に一日を過ごす事ができたら、僕らの関係も全く違ったものになるだろうね…たった一日で、だ。


−あなたとお父さんとの関係とは、どんなものなのですか?
MJ昔に比べたら、ずっと良くなったよ。父さんは以前よりも良い人になった。孫ができてから、だいぶ丸くなったね。今や三十何人もの孫がいるんだよ。


−30周年コンサートについてお父さんは何と?彼も出席していたのですか?
MJショウを観に来てたよ。でも父さんは、例え素晴らしいショウであっても「いいショウだった」って感じなんだ。決して「おぉ、素晴らしかったぞ!」などとは言わない。愛情表現の仕方を知らないんだろうね。(マイケルは、ゴムボールを鼻に乗せて部屋中を這い回るプリンスを見つめる。レポーターに話しかけたり頬を突っついたりしている)。プリンス、シーッ!静かにしてるって約束しただろう、覚えてるかい?


−今後、どのようなキャリアを積んでゆくつもりですか。
MJ僕は映画が大好きでね。監督業にも俳優業にも乗り出すよ。この世で最もパワフルな芸術表現は、映像だと思う。ライザ・ミネリと映画をやりたい。一緒に映画を作ろうと話し合っている所なんだ。2人の売れない芸人が何とかして成功しようという物語でね…彼らはどこへ行っても追い払われてしまう。そこに最高のダンスも盛り込んで、ね。これはジョークじゃないよ。僕のここには確固としたヴィジョンがあるんだ。(と、胸に手を置く。するとプリンスがやって来て父親の足元に座る。パリスはマイケルの膝の上に座って丸くなり、マイケルは娘の髪をなでる)。


−父親としてのマイケル・ジャクソンですか。我々にとっては初めて見る光景ですね。あなたは良き父親ですか?
MJ全力で頑張ってるよ。この子たちには沢山、楽しい思いをさせてあげたい。年に一度、僕はピエロみたいな格好をしてみせるんだよ。付け鼻をしたり顔にペイントをしてみたり。その格好でキャンディやクッキーをあげるんだ。
Princeそれとアイスクリームもね(笑)。
MJそう、アイスクリームもだ!


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